ご注文はうさぎですか?小説  「居なくならないでください」




『ゴメンねチノちゃん。私、もう帰らないといけないの。』

突然の言葉は、あまりにも衝撃的で・・・。

『チノちゃんのことは絶対忘れないよ。じゃあね!』

そう言って、私に背を向けたココアさんは、振り返ることもなく離れていく。
私がどんなに必死に追いかけても、まったく追いつけなくて・・・。
ココアさんの姿は、どんどん小さくなっていく。

嫌だ・・・。行かないで・・・!

「ココアさん!」


そこには、見慣れた私の部屋があって。
耳元では、目覚まし時計が音を立てている。

「夢・・・?」

目をこすりながら、無意識に呟く。
妙にリアルで、最悪な夢だった。
なんでこんな夢見たんだろう・・・。

「とりあえず、ココアさんを起こさないと・・・。」

私は、まだ寝ているであろうココアさんを起こすため、ココアさんの部屋へ向かう。
ココアさんが来てから、これが毎日の日課だ。
私より年上なのに一人で起きられないなんて、ここに来る前はどうしていたのだろうかと疑問に思ってしまう。

「ココアさん、入りますよ。」

返事が無いのは分かっているが、一応ノックをしてから部屋のドアを開ける。

「起きてください、朝です・・・よ・・・。」

そこには、ココアさんの姿は無くて。
いつもは少し散らかっている部屋も、綺麗に片付いていて。

先に起きて朝ごはんを食べているのかと思ったけど、やっぱりどこにもいなくて。
それどころか、玄関からはココアさんの靴も無くなっていて。

さっきまでの悪夢が蘇ってくる。

気がついたら、私は外に飛び出していた。


「ココアさん! どこにいるんですか!」

早朝の街に私の声が響き渡る。
見ず知らずの通行人が私のほうを怪訝そうに見ながら通り過ぎていくけど、今はそれどころじゃない。

「ココアさん!」

ある日突然やってきたと思ったら、いきなり私の姉とか言い出して。

「ココアさん!」

いつも私を振り回して、色々な事件を起こして。

「ココアさん!」

でも、いつの間にか傍にいて当たり前の存在になっていて。

「ココアお姉ちゃん!」

今さら突然いなくなるなんて、そんなの絶対許しませんから。

「ココアお姉ちゃ・・・」
「あ、チノちゃん!」


聞き慣れた声が、私の名前を呼んだ。

「どうしたの、こんなところで?」

そこには、何事もなかったかのようなココアさんの姿。

「ココアさんこそ、こんなところで何してるんですか?」

あまりにも平然としているので、ココアさんに駆け寄るなり、質問を質問で返す私。

「珍しく朝早く起きたから、嬉しくて散歩してきたんだ!」

いつもの明るい声で答えるココアさん。

「でも部屋も片付いて・・・。」
「あぁ、あれは昨日の夜なんとなく整理しようかな・・・って思って。」

そうだ、ココアさんはこういう人だった。
何をするのも唐突で、周りを巻き込むんだ。

「綺麗になってたでしょ?」

でも、この笑顔を見ると、何も言えなくなってしまう。
さっきまであんなに必死になって探していた私が、バカみたいだ。

どうしよう、安心したら涙が・・・。
ココアさんに見られちゃう。

「そういえば、チノちゃんさっき私のこと『ココアお姉ちゃん』って叫んでなかった?」

ココアさんの一言で、さっきまでの自分の言動を思い出す。
一瞬にして涙が渇いていくのを感じた。

「言ってないです。」
「え、でも・・・。」
「気のせいです。家に帰って朝ごはん食べましょう。」
「待ってよチノちゃん!」

今はまだ照れくさくて本人の前では言えないけど。
素直に『ココアお姉ちゃん』と呼べるようになるまでは、絶対に私の前から居なくならないでください。



最後まで小説をお読みいただき、ありがとうございました。

2期が放送開始ということで、それに合わせて書いた「ご注文はうさぎですか?」小説でしたが、いかがでしたでしょうか?
初めてということで、私が好きなココアとチノの2人をメインに書きました。

1期の最終回でチノが「ココアお姉ちゃん」と呟いたのを見て、思い浮かんだ作品です。
まぁ、展開的にはよくあるパターンなので、面白味は無かったかもしれませんが・・・。

今度は、リゼやシャロなど、他のキャラクターも登場させたいと思います。


ご意見・ご感想をお待ちしております。


【制作予定】
未定


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