調査日:2015年12月26日、公開日:2020年12月20日


柏隧道
(伊東市)




伊豆半島には山が多く、登録有形文化財として有名な天城山隧道をはじめ、山を越えるために古くから多くの隧道が造られました。
今回、紹介する柏隧道も、そのうちのひとつです。

柏隧道は、左の地図の丸で囲んだあたりにあります。
周辺に目立った目印が無いため、かなり縮尺を縮小したものとなります。
地図の右側に伊東駅、南伊東駅がありますが、これはその名のとおりJR伊東線と、直通する伊豆急行線の駅です。
南伊東駅の脇を通り、冷川峠に続く黄色いラインの道路は、県道59号線です。
また、南伊東駅付近で県道59号線から分岐し、下へ向かう黄色いラインの道路は県道12号線で、県道59号線のバイパスに当たります。
地図の左側で上から下に向かって引かれている境界線は市境で、左側が伊豆市、右側が伊東市です。
柏隧道は、この市境付近にあることが分かります。


地図は国土地理院の電子地形図を使用








丸印付近を拡大した地図です。
上(北側)の赤いラインで示したところに柏隧道があります。
黄色いラインの道路は県道59号線です。
先ほど書いたように、県道59号線はすでに旧道となっていますが、柏隧道はさらにその前に造られたもので、実質的には旧旧道となります。
ただし、県道59号線が冷川峠を越えているのに対し、柏隧道は直線距離でおよそ1km北側の柏峠付近に掘られており、一般的な旧道、新道の関係とは異なります。

この地図には、隧道はおろか、そこに至るまでの道路すら描かれていませんが、実態はいかに・・・。

このレポートでは、地図の左(西側)、県道59号線にある305.7m水準点付近から調査していきます。


地図は国土地理院の電子地形図を使用






県道59号線は、現在の県道12号線(バイパス)が開通するまでは、伊豆市修善寺地区と伊東市を結ぶ主要道路でした。
冷川峠前後の区間はカーブが続き、センターラインが無い区間も多いですが、現在でも修善寺駅と伊東駅を結ぶ路線バスはこちらを経由しています。







※この画像はマウスを乗せると切り替わります(少々時間がかかる場合があります)。

修善寺駅側から県道59号を走ってくると、冷川峠の手前で左に分岐する道があります。
この付近は、この道以外分岐する道路がほとんど無いので、すぐに分かりやすいです。
この道が、柏隧道への入口となります。






※この画像はマウスを乗せると切り替わります(少々時間がかかる場合があります)。

なお、この分岐点には、「伊東近道」と掘られた石碑や、「冷川峠(柏峠)ここから二粁(2000m)」と書かれた木柱、さらには柏峠について書かれた案内板までもが設置されています。
柏峠自体はハイキング・コースとしても知られているので、登山者向けの案内なのでしょうか。
案内板には、1882(明治15)年に隧道を造ったという表記もありますが、これは1905(明治38)年に開通した天城山隧道よりも20年以上も前となり、大変な歴史を持つ隧道となります。






※この画像はマウスを乗せると切り替わります(少々時間がかかる場合があります)。

それでは、柏隧道へ続く道に入ります。
現在は林道として管理されているようで、入口に設置されている看板には特に通行禁止などの表示はありませんが、入口から数十メートルの所でチェーンが貼られており、車両の乗り入れはできません。
なお、看板には「中伊豆町」と書かれていますが、これは2004(平成16)年に周辺の町と合併し伊豆市になる前の町名です。





※この画像はマウスを乗せると切り替わります(少々時間がかかる場合があります)。

林道をしばらく歩くと右に分岐が現れるので、そちらへ曲がります。
これまで歩いてきた林道は舗装がしっかりとされていましたが、この先は少し荒れそうです。






※この画像はマウスを乗せると切り替わります(少々時間がかかる場合があります)。

ちなみに、この分岐点には一応案内がありますが、ただの棒切れに油性マジックで「→柏トンネル入口」書いただけという・・・。
背景と同化して目立たないので、気をつけて見ていないと見逃してしまいます。
そもそも、ちゃんと許可を得て設置したものなのかさえも怪しいですが・・・。





舗装はすぐに途切れ、沢と一体化したような道を登っていきます。






しばらく登っていくと、やがて道が平坦になり、前方に掘割が見えてきました。
柏隧道は近いようです。






そして、短い堀割の先には柏隧道が姿を現わしました。
しかし、堀割から崩れてきたと思われる土砂で埋まっており、どうやら無事ではない様子です。








1882(明治15)年に掘られた伊豆最古の隧道といわれている柏隧道。
当時は中伊豆と東伊豆を結ぶ要所とされたものの、1906(明治39)年に冷川峠を通る現在の県道59号線が開通し、次第に廃れていきます。
また、1958年(昭和33年)には狩野川台風により伊東側の坑口が埋没し、復旧されないまま現在に至っています。
そのため、隧道を通り抜けることはできず、伊東側の坑口があった場所も特定が難しいようです。
かろうじて残っているのが、修善寺側坑口付近のみとなっています。





※この画像はマウスを乗せると切り替わります(少々時間がかかる場合があります)。

坑口前には、「崩落の危険あり 立入禁止」という看板が落ち葉に埋もれるように置かれています。
林道の入口に案内板が設置されていたことからも、行政も存在自体は認識しているようで、最小限の管理は行われているようです。

一応内部には空間がありますが、閉塞しているため真っ暗で、照明器具を持っていなかったこともあり入りませんでした。


天城山隧道のように重要文化財に指定され、観光地として賑わう隧道もあれば、柏隧道のようにひっそりと余生を過ごす隧道もある。
状況は違えど、どちらも明治生まれの貴重な隧道であることに変わりありません。
天城山隧道を訪れる際は、ぜひ柏隧道も訪れてみてはいかがでしょうか。


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