けいおん!小説 「卒業」






今日は桜高の卒業式。
2年間私と一緒に演奏してくれた律先輩、澪先輩、ムギ先輩、そして唯先輩が桜高を去る日・・・。

今まで毎日のように会っていたのに、明日から会えなくなる。
信じられないけど、これが現実。



先輩方といっしょにいた2年間はとても楽しかった。


部室に集まるとまずティータイム。しかも、長い時は1時間〜2時間なんて当たり前。
練習なんて全然してなくて、入部したばかりの頃の私はとても驚いたっけ。

ムギ先輩が持ってきた高級ケーキを食べながらおしゃべりする毎日。
時には律先輩と澪先輩が言い争ったり、時にはみんなでトンちゃんを眺めたり・・・。

5人しかいない部室のはずなのに、いつもすごく賑やかで・・・。
そんな光景が見れなくなると思うと、ついため息が出てしまった。




そして、この2年間で私はある人を好きになった。

入部早々私のことを『あずにゃん』と呼んだり、その後も会うたびに私に抱きついてきたり・・・。
最初は恥ずかしくてしょうがなかったけど、毎日されているうちに慣れてしまって。

・・・いつからか、されないと落ちつかなくなってしまった。
抱きつかれたときに感じる、あの人の体温と匂いを、もっと感じたいと思うようになってしまった。


最初はその感情を否定していた。
でも、そうすると余計意識してしまって、あの人の声を聞くだけで心臓がバクバクしてしまって・・・。
もう受け入れざるを得なかった。



”好き”という感情を・・・。



とはいえ、これは決して認められることのない感情。
私は自分の感情を伝えることなく、この日まで過ごしてきた。

今日だけ我慢すれば、今まで通り仲の良い先輩・後輩の関係で終われる。
先輩を笑顔で見送って終われる。




でも・・・



最後に私の想いを知ってもらいたい
私の想いを知られずに卒業されてしまうのは・・・嫌だ


ふいにそう思ってしまった。




「唯先輩!」


気づいた時には、私の口は勝手に言葉を発していた。
慌てて手で口を押さえる。


でも・・・



「なぁに? あずにゃん。」


私の少し前を歩いていた唯先輩が振り向いてしまった。

もう・・・後戻りはできなかった。





「好き、です・・・。唯先輩のことが。」


唯先輩の目を見て、冗談ではないことを訴えかける。



「あず・・・にゃん?」


いきなりの私の言葉に驚いたのか、唯先輩はそう呟いたきり何も言わず、ただ私を見つめている。



「女の子同士だって分かってます・・・。だから、本当は想いを言わずに先輩を見送るつもりでした。」

視界がどんどん歪んでいく。唯先輩の顔をまともに見ることができない。


「でも、無理でした・・・。私の想いを伝えないまま唯先輩と別れたくなかったんです・・・。」

目から涙がこぼれ落ちる。でも、もう言葉は止まらなかった。


「卒業しないでくださいっ! 唯先輩と会えなくなるなんて、イヤ・・・です・・・。」



・・・一番言ってはいけないことを言ってしまった。
せっかく大学進学が決まって卒業を楽しみにしていたはずなのに。

勢いとはいえ、私は最悪だ・・・。



「ご、ごめんなさい! 私、こんなつもりじゃ・・・。」


私はその場の空気に耐えきれなくなり、その場から走り去ろうとした。





―― バッ!


何かに腕を掴まれた。




「あずにゃん。」

見ると、私の腕を掴んでいたのは唯先輩の手。



「ゆ・・・い・・・先輩?」

なぜ唯先輩が腕を掴んできたのか分からない私は、逃げ腰のまま動けなくなってしまった。



「あずにゃん、ありがとう。」


そのまま、私は唯先輩に引き寄せられて・・・






―― トスッ


唯先輩に・・・抱かれた。



「あずにゃんはカワイイなぁ〜。」

そう言いながら頭を撫でてくる唯先輩。
唯先輩の体温と匂いが伝わってくる。



「ちょ・・・唯先輩! こ、これは一体・・・。」


「私もあずにゃんのこと、大好きだよ!」



これってもしかして、両想い・・・?


「ゆいせんぱぁい〜。」

私は唯先輩に抱きついた。
そしたら、唯先輩は私をさっきよりももっと強く抱いてくれて・・・。



嬉しすぎて涙が止まらなくて・・・
私は日が暮れるまで、唯先輩と抱き合っていた。



最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございました。

今回、2作目の「けいおん!」小説に挑戦してみました。
2期最終回の続きをイメージして書いてみましたが、なんと中途半端な終わり方・・・(orz
本当はもっと続く予定だったのですが、長くなりそうでしたし、時間も無かったので両想いになった時点で終わらせましたw

個人的には唯×梓な小説が書けたので満足しています。
とはいえ、やはりこの中途半端感は納得いかないので、いつか続編を書いてみたいですね。




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