キルミーベイベー小説 「友達」





「あっ、ソーニャちゃん! おはよ〜!」
「ホント、お前は朝から元気だな・・・。」

このやり取りにも慣れたものだ。
すでに慣れたを通り越して飽きつつある。
コイツは本当に私が殺し屋であることを理解しているんだろうか。

・・・そういえば、どうしてやすなと私は今のような関係になったんだろうか。



私は、物心ついた時にはすでに殺し屋として訓練を受けていた。
人が死ぬところも何回も見てきた。

"友達"なんてものはいらなかった。
例え友達になったとして、もしその友達を殺すように命令が来たら、殺さなければならない。
もしくは、逆に私を殺すために友達のフリをして近づいてきている可能性もある。
自分の命を守るためにも、"友達"なんて存在は必要なかった。

それなのに、コイツは・・・。

― 今日からソーニャちゃんは私の友達だ! ―

もちろん、最初は無視していた。
今までも私に近付いてきた物好きなヤツはいたが、大概は無視すれば自然と離れていった。
でも、コイツは違った。

― ソーニャちゃん? ―
― ねぇ、ソーニャちゃんってば! ―
― ソーニャちゃ〜ん!! ―

無視すれば無視するほど、私に話しかけてくるようになりやがった。
そのあまりのしつこさに、私はついに言ってしまった。

『もう友達でも何でもいいから、静かにしてくれ!』

今思えば、かなり軽率な発言であった。
だが、当時の私はとにかくやすなを黙らせるのに手いっぱいだったのだ。

この発言以降、私とやすなは形式上の"友達"となった。
あくまで形式上であり、ベクトルの向きは完全にやすなから私への一方通行だった。
私がやすなに話しかけることは無かったし、やすなの言葉に私が返事をすることも無かった。
私は、まだ心のどこかにやすなが諦めて私から離れてくれることを期待していた。

でも、やっぱりやすなは私から離れなかった。
休み時間になるたびに、今日起こった出来事や先生の愚痴など、訊いてもいないことを話してきた。

いい加減うっとおしくなった私は、ある日、やすなに会わないよう、いつもと違う道を通って登校した。
今まで1日たりとも私の視界から消えなかったあいつが、その日は学校に来なかった。

そして、その日の帰り道。
いつもの通学路を通っていた私の前に、学校を欠席したあいつが待っていた。

「あ、ソーニャちゃん! 遅いよ。」
「お前、まさか朝からずっと待ってたのか?」
「もちろんだよ! だって友達じゃん。友達が友達を待つのは当たり前だよ!」

・・・こいつは本当の馬鹿なんだと思った。
待ち合わせ場所に来なかったからと、学校を欠席してまで来るまで待つヤツがどこにいるだろう。

もう、こいつには何をしても無駄だと分かった。
だから私は、こいつが満足するまで、おとなしく"友達"とやらを演じてやることにした。


――


「それでさぁ、って・・・ちょっとソーニャちゃん聞いてる?」

あ?
まったく、せっかく人が物思いに耽っていたというのに、うるさいヤツだ。

「いいや、まったく聞いてないが。」
「ひどい!」

それにしても・・・

「まさか、こんなに続くことになるとはな・・・。」
「え、何か言った?」
「何も言ってない。」
「絶対言ったよ! ねぇ、なんて言ったの? ねぇってば〜。」
「うるさい。」



最後までお読みいただき、ありがとうございました。
初めての「キルミーベイベー」小説でしたが、いかがでしたでしょうか?

作中では当然のように一緒にいる2人ですが、一体どのような出会い方をしたんだろう・・・と感じたのが、この小説を書いたきっかけです。
2人の性格から考えて、先に話しかけたのはやすなだろうなと勝手に思っていますがw
いつも鬱陶しそうにやすなに接しているソーニャですが、なんだかんだで一緒に行動しているあたり、きっとやすなのことが好きなんだろうと思います。
機会があれば、もっと2人で百合百合している小説も書いてみたいものです。


ご意見・ご感想をお待ちしております。




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