きんいろモザイク小説 「変わらない温もり」






「遅いわよ陽子。」
「ゴメンゴメン。」

いつもの待ち合わせ場所に、慌てて駆けてくる陽子。
その様子を見て、私はため息をついた。

「それじゃあ行きましょう。」
「今日も学校着くのギリギリだね〜。」

登校時間が迫っていることもあり、私たちはすぐに歩きだす。
狭い歩道では、4人が並んで歩くことはできない。
自然とシノとアリス、陽子と私という組み合わせで2列になって歩く。

「陽子ちゃん、今日はなんで遅れたんですか?」
「いやぁ、二度寝しちゃってさぁ・・・。」

もはや聴き慣れてしまった陽子の言い訳を聴きながら、私はシノとアリスの繋がれた手を見ていた。
シノとアリスは、登下校の時はほぼ毎日、手を繋いでいる。

私も、転校してきたばかりの頃は、毎日のように陽子と手を繋いで登下校していた。



『陽子、待って!』
『大丈夫だよ、綾を置いて行ったりしないって。』
『でも・・・。』
『じゃあ手を繋いで行こう。そうすれば安心でしょ?』
『うん。』



いつから、手を繋がなくなったんだろう。

いや、いつから手を繋げなくなったんだろう。



『あ、痛・・・。』
『大丈夫? ちゃんと前見て歩かなきゃ。』



一人っ子の私にとって、陽子は頼りになるお姉さんのような存在だった。
陽子やシノとすっかり打ち解けてきたある日のこと。



『陽子ちゃんと綾ちゃんはいつも手を繋いでますね。』
『綾はさびしがり屋だからな。』
『なんだか恋人みたいでとっても素敵です!』
『な、何言ってんのよ!』



それからというもの、陽子と手を繋ぐと心臓がドキドキするようになった。
手だけではなく、不意に陽子に触れただけでも体中が熱くなった。
今までに経験したことの無い感覚。
このままずっと触れていたらおかしくなってしまうんじゃないかと思ったら、もう手を繋ぐことなんかできなかった。



ふと、右手になつかしい温もりを感じた。

「なんかシノとアリスが手を繋いでるのを見たら、懐かしくなっちゃって。」

見ると、陽子の左手が私の右手と結ばれている。

「綾、昔はこんな風に私と手を繋いでたなって。」

手を繋いでるから必然的に陽子の顔も間近になるわけで。
陽子が私と同じことを考えていたのは嬉しいけど、いきなりのことに体温の上昇が止まらない。

「もしかして、嫌だった?」
「べ、別に嫌じゃないけど・・・。」

混乱しながらも、私はどうにか言葉をひねり出した。

「今日だけなんだからね!」

素直に陽子と会話ができていたあの頃とは変わってしまった私。
それでも、掌を通じて伝わる陽子の体温は、あの頃と変わらなくて、それが少し嬉しかった。

「そういえば、なんで急に手を繋がなくなったの?」
「そんなこと、今はどうでもいいでしょ!」



最後までお読みいただき、ありがとうございました。
気づけば3作目の「きんいろモザイク」小説でしたが、いかがでしたでしょうか?
2015年に放送された2期や2016年の劇場版では「陽子×綾」が多くて素晴らしかったですね!
やはり陽子×綾は良いものですねぇ・・・。

というわけで、今回も陽子と綾がメインの小説を書いてしまいました。
2期のオープニングのサビに登場した登場したシーンを基に想像してみました。
カレンがまったく出てきませんが、決してカレンが嫌いなわけではありません・・・。

3期あくしろよ。


ご意見・ご感想をお待ちしております。




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