ラブライブ!小説 「誕生日の夜の出来事」






「にこちゃん大好き!」

顔を赤らめた真姫ちゃんが、私に抱きつきながらそう言う。
周りには空き缶が散乱し、時計を見るととっくに深夜を回っている。
私は、思うように働かない頭を必死に回転させ、この現状の原因を考えた。



――



「真姫ちゃん、誕生日おめでとう。」
「ありがとうにこちゃん。」

この日は真姫ちゃんの誕生日、私の部屋で誕生日を祝っていた。

「あの真姫ちゃんももう20歳かぁ。」
「どういう意味よそれ。そんなこと言ったらにこちゃんなんてとても22歳には見えないけど。」
「なんですって!」

すぐに互いに悪口を言い合うところは、高校時代から何も変わらない。

「冗談は置いといて、せっかく20歳になったことだし、お酒でもどう?」

私は、冷蔵庫を開けると、缶を2つ取り出す。

「さっきみんなに祝ってもらった時にビールを飲んでみたけど、苦くてとても飲めたものじゃなかったわ。」

数時間前、μ’sのみんなで真姫ちゃんの誕生日を祝った時、穂乃果たちに薦められるがままビールを飲んでいたのを思い出す。

「確かにビールは好き嫌い分かれるわね。私もあまりビールは好きじゃないわ。」

そう言いながら、私は、2つの缶のうち1つを真姫ちゃんに手渡す。

「でもにこが用意したのはチューハイ、ジュースみたいなものだから大丈夫よ。」
「本当・・・?」

渡された缶をじっと見つめる真姫ちゃんは、警戒しているのかなかなか缶を開けようとしない。
ならば・・・と私はいつもの手段を使うことにした。

「もしかして真姫ちゃん、さっきのビールでびびってるの?」
「そんなわけないじゃない! こんなの余裕なんだから。」

さっきの穂乃果の時もそうだったけど、本当に真姫ちゃんは他人の言葉に流されやすい。
時々心配になるけど、今は好都合だ。

「本当ね、ジュースみたいですごく飲みやすいわ。」

一口飲んだ真姫ちゃんはそう言うと、二口、三口と飲み続けていき、すぐに缶の中身を空にした。

「このくらいだったら全然飲めるわね、もう1本飲んでも良いかしら。」
「気に入ってくれたみたいで良かったわ。はい、これ2本目。」

私が真姫ちゃんに渡した2本目は、やはりすぐに空になった。

「真姫ちゃんいけるわね! はい次。」

最初はノリノリで渡していた私だったが、5本、6本と増えていくにつれて、不安になってきた。

「ねえ真姫ちゃん、そろそろ終わりにしない?」
「どうして? まだまだ飲めるわよ!」

そう強気に言う真姫ちゃんは、しかし呂律が回っていない。
明らかに酔っぱらっていると分かった。

「あまりお酒を飲み過ぎるのは良くないのよ。だから一回休憩しましょ。」
「・・・にこちゃんは私のこと嫌いなんだ。」
「は?」

真姫ちゃんの突然の一言に、私は思わず間抜けな声を出してしまった。

「私のこと嫌いだから、そうやっていじわるするのね。」
「ちょっと何言ってるのよ。」

どうやら、私が真姫ちゃんのことを嫌ってるから、いじわるして酒を飲ませないようにしていると思っているらしい。
医者の娘なんだから、酒の飲み過ぎが体に良くないってことくらいは知っているはずだけど、今の状態の真姫ちゃんには何を言っても無駄みたい。

「私は、にこちゃんのこと好きよ。」
「ちょっと、真姫ちゃ・・・。」

不意に背中に手を回されたかと思えば、私はそのまま真姫ちゃんに抱きしめられた。

「にこちゃん大好き!」

普段の真姫ちゃんなら絶対にしてこない大胆な言動に、不覚にもときめいてしまった。
いくら酔ってるからって、こんなの反則だわ。

「真姫ちゃんかわいい。」

私も少し酔っているからだろうか、思ったことがそのまま口に出てしまった。

「かわいい?」
「うん。今の真姫ちゃん、すごくかわいい。」

訊き返してくる真姫ちゃんがさらにかわいくて、私は真姫ちゃんの背中に手を回して抱きしめる。

「私のこと、嫌いじゃないの?」
「嫌いなわけないじゃない。好きよ、真姫ちゃん。」
「良かった・・・。」

普段は恥ずかしくて全然言えないことだけど、今ならすんなり言うことができる。
お互いこういう時でないと素直になれないなんて、変なところで似てるんだから、困ったものね。

「にこちゃん・・・。」

急に静かになったと思ったら、真姫ちゃんは私を抱きしめたまま寝息を立てていた。

「まったく、しょうがないんだから。」

空き缶だらけの部屋を見渡す。
缶の片付けに床の掃除、お風呂にも入らないといけないし、やらなければいけないことはたくさんある。
でも、それを忘れてしまうくらいに真姫ちゃんの体温が心地良い。
どうせこの状態じゃすぐには動けないし、もう少しこのままでいよう。

真姫ちゃんの少しクセのある髪の毛を梳いてみる。
わずかに、真姫ちゃんの香りが私の鼻孔をくすぐった。



最後までお読みいただき、ありがとうございました。
2作目の「ラブライブ!」小説でしたが、いかがでしたでしょうか?

読んでいただいたとおり、今回は真姫ちゃんが20歳の誕生日という設定で書いています。
ただ、にこちゃんと付き合ってるかどうかは、皆様の想像にお任せします。
もしかしたら同棲しているのかもしれませんし、誕生日会の帰りににこちゃんの家に立ち寄っただけかもしれません。
いつも付き合ってることが前提となっている話が多いので、たまにはこういうのも良いかな、と思いまして・・・(決して設定が面倒くさかったわかではry)。

なんだかんだで誕生日系の小説を書いたのはかなり久しぶりな気がします。
今後も機会があれば書いていきたいと思います。


ご意見・ご感想をお待ちしております。


【制作予定】
未定




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