ラブライブ!小説 「スキンシップ」






「おはよーにゃ!」

たまたま少し早めに部室に来ていた私と花陽。
他愛もないおしゃべりをしていると、勢いよくドアが開くとともに元気な声が響く。

「かよちん、何してるの?」
「もう凛ちゃん、いきなり抱きついてきたらびっくりするよ。」

部室に入るなり、花陽に抱きつく凛。
もはや見慣れつつあるこの光景を見て、私は凛に訊いてみることにした。

「ねぇ凛、どうすれば私もあなたみたいなスキンシップができるのかしら。」

私は今まで友達らしい友達がいなかったから、距離感というのがよく分からない。
当然、誰かに抱きつくなんてこともしたことが無いから、凛が少しうらやましかった。

「その、凛はいつも花陽とかに抱きついてるじゃない? 私も少しだけ誰かに抱きついてみたいな・・・なんて。」
「・・・。」

あれ、凛と花陽が2人とも私を見たまま動かなくなった。
人がせっかく勇気を出して相談したのに、いったいどうしたのかしら。

「真姫ちゃん!」
「真姫ちゃん真姫ちゃん真姫ちゃん真姫ちゃん!」

次の瞬間、私の名前を呼んだかと思えば、突然私に抱きついてくる2人。
どうなってるのよこれ!

「真姫ちゃんかわいいよぉ。」
「真姫ちゃん真姫ちゃん真姫ちゃん真姫ちゃん!」

クラス中の視線が私たちに釘付けになる。
良い匂いがするとか柔らかいとか色々思ったけど、まずはこの騒ぎを収めないと、恥ずかしすぎる。

「落ち着きなさいよ2人とも!」

2人の頭に弱めのチョップを食らわすと、ようやく私から離れた。

「いきなり何なのよ!」
「だって真姫ちゃんがかわいいこと言うから・・・。」
「しょうがないにゃー!」

かわいいなんて恥ずかしげも無く言ってくるあたり、花陽も意外とあなどれない。
私のほうが恥ずかしいじゃないのよまったく・・・。

「それで、さっきの話の続きだけど・・・。」
「う〜ん、正直あんまり意識してないにゃ。」

凛の口から出てきた言葉は、とてもありがちな答え。
まぁ、凛のことだからそんな答えではないかと思ってはいたけど。

「凛ちゃんは昔からこんな感じで、誰にでもすぐに抱きつくんだよ。だから私も凛ちゃんにつられて抱きつくようになっちゃった。」

他人が抱きついてるのを見て、自分もつられて抱きついちゃうなんてことあるのかしら。
いや、確かにさっきの花陽はそんな感じだったけど・・・。
例えば、他の人が抱いている猫を見て、私もあの猫抱いてみたいって思うようなものなのかしら。

「そうだ、試しに凛に抱きついてみるにゃ!」
「ヴェエエ・・・。」

凛の唐突な提案に、思わず変な声を出してしまった。

「真姫ちゃんも抱きついてみれば良さが分かるにゃ!」

スキンシップの相談をしていたはずなのに、いつの間にか話題が抱きつくことの良さにすり替わっている気がするけど、抱きついてみたいという好奇心に負けてしまった私は、凛の背中に手を回した。

「どんな感じ?」
「すごく恥ずかしい・・・。」

こんなに密着するなんて初めてのことだから、恥ずかしくないわけがない。

「でも、やわらかくて温かくて、とても心地良い・・・。」

手を通じて、凛の体温が伝わってくる。
耳を通じて、凛の心臓の音が伝わってくる。
鼻を通じて、凛の香りが伝わってくる。
目を閉じたら、そのまま眠ってしまいそうな、そんな感覚。

「でしょ? 抱きつくと温かくて、良い匂いがして、とっても落ち着くんだにゃ。」

これは、凛がみんなに抱きついてしまう気持ちも分かるかもしれない。
私には到底できそうにないけど。

「でも、凛でこんなになってたら、にこちゃんに抱きついた時なんか真姫ちゃん死んじゃうんじゃないかにゃ?」
「どうしていきなりにこちゃんが出てくるのよ!」



最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今回は、1年生組が中心のお話にしてみました。
いつも「にこ×真姫」ばかり書いているから・・・というのもありますが、1年生組の空気感がとても好きだったので書いてみました。

時代は「ラブライブ!サンシャイン!!」、「ラブライブ!」なんてもう古いと思っている方もいるかもしれません。
しかし、「ラブライブ!」があったからこその「ラブライブ!サンシャイン!!」であり、個人的にはまだまだ「ラブライブ!」を応援していきたいです。
これからも、ネタがある限り小説を書き続けていきたいと思います。

ご意見・ご感想をお待ちしております。




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