ラブライブ!小説 「悩みのタネ」






今日も1日の授業がすべて終わり、教室から出てきた生徒たちで廊下が騒がしくなる。

下校途中にカフェにでも寄って行こうと友達と話しながら歩く人。
急ぎ足で部活動へ向かう人。
窓の外の景色を眺めて黄昏てる人。

様々な人が行き交う廊下で、私は見覚えのある姿を見つけた。
小柄な体、赤いリボンで結んだツインテール、綺麗な黒い髪の毛。
紛れもなくにこちゃんだ。

私は、声を掛けようと、にこちゃんに近付いた。

「にこちゃ・・・。」

そして、口に出したところで、しかしその言葉を最後まで言うことは無かった。
いや、言うことができなかった。

にこちゃんは、今までに見たことも無い表情をしていた。
いつも"笑顔"を大切にしている彼女からは、想像もできないような表情。
でも、決して怒っているようには見えないし、悲しんでいるようにも見えない。
まさに"無表情"とでも言うべき、そんな表情。


にこちゃんに暗い過去があったことは知ってる。
μ'sの仲間になる前のにこちゃんは、ずっと孤独と戦っていた。
つらい記憶は、時間が経っても忘れることが難しい。
ふとした拍子に、その頃のことを思い出してしまうのかもしれない。

にこちゃんは、自分のことをあまり周りに話そうとしない。
過去の話だって絵里や希から聴いたことで、本人から直接聴いたわけじゃない。

にこちゃんは4人姉弟の一番お姉さん。
妹や弟に心配されたくなくて、何かあっても自分でなんとかしようと思ってしまうのかもしれない。
でも、ずっと抱え込んだままだと、いつか心が壊れてしまう。
そうなる前に、周りの人に相談することが大切だ。

でも、きっとにこちゃんは人に頼るということを知らない。
だから、私たちのほうから手を差しのべなければならない。
今ここにいるのは私1人だけ。
私がにこちゃんを助けなくちゃ・・・。

気づけば私とにこちゃんの間にはかなりの距離が開き、にこちゃんは今にも他の生徒に紛れてしまいそうだった。
ここで見失ってしまうわけにはいかない。

「にこちゃん!」

とっさに叫んだ名前は、思いのほか大きな声が出てしまい、私の周りに居た人が一斉に私のほうを向いた。
私は構わず、にこちゃんに歩み寄る。

「どうしたの真姫ちゃん、そんな大声で呼んで。」

私のほうを向いたにこちゃんの顔は、先ほどまでとは違い、驚きと呆れ顔が混ざったような表情をしていた。

「にこちゃん、さっきすごい表情で歩いてから気になって。何か悩みでもあるの?」
「あぁ、見られちゃってたか・・・。」

少し恥ずかしそうに手で頭を抑えるにこちゃん。
やはり、何かしら悩んでいたようだ。

「言ってみてよ。力になれるかどうか分からないけど・・・。」
「ありがとう真姫ちゃん! 実はね・・・。」

私の言葉を聴いて、意外とあっさり悩みを打ち明けようとするにこちゃん。
いったいどんな悩みなのか、一言も聴き逃さないよう、全神経を耳に集中させる。

「スーパーのタイムセールが被っちゃって、どっちに行こうか迷ってるのよねぇ。」

は?

「妹達は果物好きだから、みかん詰め放題は魅力的よね。」

まさか、悩みって・・・。

「でも野菜はちゃんと食べてほしいし、そう考えるとトマトの詰め放題も見逃せないし・・・。」

まさか、悩みって・・・。

「真姫ちゃんはどっちのタイムセールが良いと思う?」

私の心配を返して!

「にこちゃんのバカ!」
「なんで!?」



−おまけ−

「そんなのトマトに決まってるでしょ!」
「こんな時でもちゃんと答えてくれる真姫ちゃん大好きニコ。」



最後までお読みいただき、ありがとうございました。

相変わらず「にこ×真姫」ばかり書いていますが、今回はギャグ路線にしてみました。
まじめな話ばかりを書いていると疲れてしまいますからねw
個人的には、この2人はこんな感じで、いつもバカなやりとりをしていてほしいです。
まだまだ「にこ×真姫」熱は冷めそうにありません。
今後も書いていきたいと思います。

ご意見・ご感想をお待ちしております。




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