らき☆すた小説 「1つのチョコに2人の想いを」






「う〜ん・・・。」



1年の中でももっとも寒い2月。

教室から外に舞う雪を眺めながら、私は悩んでいた。
前のほうでは先生がなにやら喋っているが、さっきから私のノートは白紙のままだ。

授業が手に付かなくなるほど私が悩むことはそうそうない。
私をここまで悩ませているもの、それは ――


バレンタインデー


去年までだったら軽く受け流していたイベント。
しかし、今年は違う。

”泉こなた”という、その・・・た、大切な人ができたから。

って自分で言っておいて何恥ずかしがってるんだ私は・・・。もう付き合い始めて何ヶ月も経ってるというのに。


と・・・とにかく、そういうわけで今年のバレンタインデーは行動しないとマズいわけよ。
最善なのは、自分でチョコを作って渡すことよね。てかバレンタインデーってそういうイベントだし。

でも、私 ――


「料理できないからチョコも作れないんじゃないの〜?」


そうなのよねぇ・・・って


「こなた! なんでアンタがここに!?」
「とっくに授業は終わってるよ〜、かがみん。」


そう言われて周りを見渡すと、みんなカバンに教科書などをしまっている。
授業が終わったことにも気付かないなんて、どんだけ悩んでるんだ私は・・・。

それにしても・・・


「なんでアンタが私の考えてることを知ってるのよ?」
「いや、かがみ口に出てたし。」


マジか! 恥ずかしすぎるぞ私。
というか、私の経験上このパターンはかなりヤバい・・・。


「ムフフ〜、私のために一生懸命悩んでくれるかがみ萌え!」


やっぱりそうくるか・・・。頼むからそのニヤニヤ顔はやめてくれ。

すると、私の願いが通じたのか、こなたの顔が元に戻った。


「実は私もバレンタインにかがみにチョコを作ってあげようと思ってたんだけど、これじゃあ意味が無いね。」
「は?」


言葉の意味が分からず、私の口は無意識にその一音を発する。
顔を戻してくれたと思ったら、今度は何を言い出すんですかこなたさん。


「バレンタインデーってさ、本来女子が好きな男子にチョコを渡す一方通行なイベントでしょ?」
「まぁ、そうね。」

「で、チョコを貰った男子はホワイトデーにお返しをする。」
「うん。」


私は相槌を入れながらこなたの話を聴く。


「バレンタインデーにお互いがチョコを渡しちゃったら、ホワイトデーにすることなくなっちゃうじゃん?」
「そうねぇ・・・って、え?」


流れに乗せられてつい相槌を入れてしまったが、頭が付いていけてない。
頭を落ち着かせて、こなたが言ったことを整理してみる。

『バレンタインデーにお互いがチョコを渡したら、その時点でお返しも貰ったことになり、ホワイトデーにすることがなくなってしまう』

要はこういうことだろうか。間違ってはない気もするけど・・・。



「お互いにチョコを渡すことが分かってるんだったらさ、いっそ2人で一緒にチョコを作ったほうが楽しくない?」



なんともこなたらしい発想というか、なんというか・・・。
でも、確かに楽しいかもしれない。だって、好きな人と2人で作れるんだもの。

私もこなたと ――


「というわけでかがみん、明日私の家で一緒にチョコ作ろうよ!」
「へ!?」


さっきから一音しか発してないわね、私・・・。
そんなことより、まさに私が今思っていたことをこなたが言ってくれるなんて。

もしかして、また口に出してたなんてことは・・・無いわよね?


「かがみんのためにも、そのほうが良いんじゃない? 作り方は私が教えてあげるからさ。」
「余計なお世話よっ!」


こなたはいつもひと言余計なのよ。久々に突っ込んじゃったじゃないの。
でも、こなたと2人でチョコ作りができるなんて、まるで夢みたい。

よし、今日家に帰ったら速攻でつかさにチョコの作り方を聞かなきゃ・・・。





― 翌日 ―




「違うよかがみん、ここはこうして・・・。」
「え? こう?」
「そうじゃなくて〜。」


おかしいわね、完全にこなたの足手まといになっちゃってるじゃないの・・・。
昨日つかさに作り方を聞いたはずなのに・・・。やっぱり料理って聞くだけじゃなくて、実際に経験してみないとダメなのかしら。

そんなことを考えていると、こなたが冷蔵庫にチョコレートを入れ、どうやら作業はひと段落したようだ。


「あとは固まるのを待つだけだよ。」
「そう。・・・ごめんね、こなた。」


今まで黙ってたけど、こなたにこれだけは言っておきたかった。
私のせいで何回もこなたの作業を止めちゃったし、時間もかなり掛かっちゃったから。


「なんで謝るの? かがみと一緒にチョコを作れる機会なんてめったにないんだよ? 私はそれだけで十分だよ。」


こなたの言葉に、一気に顔が熱くなってきた。
まったく、どうしてコイツはいつもこんな恥ずかしいセリフを平気で言えるんだろう。


「確かに自分ひとりで作る時より手間も時間も掛かったけどさ、ひとりで作るよりずっと楽しいもん。」


『楽しい』。そんなひと言で私の弱点を認めてくれるなんて・・・。
今さらだけど、私はこなたのこんなところに惹かれたのかもしれない。

だから、そんなこなたに精一杯のお礼を・・・。


「ありがとね、こなた。」




ちなみに ――


出来上がったチョコレートを冷蔵庫から取り出してみると、私の作ったチョコとこなたの作ったチョコが一目で分かるほどの違いが出ていた。

こなたと全く同じ作り方をしたはずなのに、どうしてかしらね・・・。



というわけで、私の3作目となる「らき☆すた」小説はこれで終了です。最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございました。

今回はバレンタインデー小説ということで、少し甘い感じの話にしてみました。
え? お前の小説はいつも甘いじゃないかって? ぶっちゃけこの2人でシリアス物を作るなんて無理ですw

かがみは料理が苦手なので、バレンタインなんかは悩みこんでしまうのではないでしょうか?
逆にこなたは料理が得意なので、さりげなくかがみにフォロー入れてあげたりして・・・。うん、すごく萌える(黙れ

上の理由で、かがみ視点のほうが書きやすいだろうと判断し、今回の作品はかがみ視点にしてみました。
ただ、 1作目 で既にかがみ視点を書いてしまっているんですよねぇ・・・。
未だにこなた視点の作品が無いので、次回あたりこなた視点で書いてみようと思っています。




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