調査日:2013年5月9日


国道135号線旧道区間
(網代地区)




国道135号線は、静岡県下田市を起点とし、神奈川県小田原市までを結ぶ道路です。
道路事情の良くない伊豆半島において、東海岸を縦断する数少ない道路のため、交通量は非常に多いです。
行楽シーズン(主に夏休み)ともなると、頻繁に渋滞が発生します。

そんな国道135号線には隧道も多く、いくつか旧道が存在します。
そのうちの1ヶ所が、今回紹介する熱海市網代地区です。
左の地図のやや右上、鼻のように出っ張った部分に旧道があります。
なお、下に書かれている境界線は、熱海市と伊東市の境界を表しています。
地図の上側が小田原方面、下側が下田方面です。


地図は国土地理院の電子地形図を使用







旧道のある区間を拡大した地図です。
赤ラインが現道、青ラインが旧道となっています。
途中、青ラインが2本に分かれているのは、旧道のさらに旧道にあたる旧旧道があるためです。

この区間、現道は「新網代トンネル」と「立岩トンネル」という2本の隧道で抜けています。
旧道は、新網代トンネルを迂回した後、現道と交差し、現道の「立岩トンネル」にあたる「網代隧道」を通ります。
さらに、この「網代隧道」を迂回するように旧旧道があります。

距離自体は短いですが、この現道と旧道の関係には複雑な変遷があったのです。
それでは、小田原側(地図の左側)からレポートを始めます。


地図は国土地理院の電子地形図を使用






伊豆半島の大動脈ともいえる国道135号線。
場所によっては片側2車線になったりもしますが、網代地区では片側1車線となっています。

このあたりは、路側帯に余裕があり、狭いながらも両側に歩道もあるので、安心して通行できます。
また、写真にバス停が写っている通り、「東海バス」の路線バスもそこそこの本数(1時間に2本程度)走っており、また網代駅からも徒歩圏内なので、交通は比較的便利だといえます。






そのまま進むと、やがて前方に山が見えてきます。
国道135号線はそのまま山へ突っ込んで行きます。

そして、その手前にある信号機のある交差点(ちょうど路線バスが曲がってきている場所)が、旧道との分岐点となります。







※この画像はマウスを乗せると切り替わります(少々時間がかかる場合があります)。

旧道の分岐点です。
トの字型のいかにもといった交差点となっています。

まずは、現道をそのまま進むことにします。




現道は、旧道との分岐を過ぎるとすぐに「新網代トンネル」へ入ります。
坑口が正円に近い円形なのが特徴的ですが、それ以外はいたって普通のトンネルです。






※この画像はマウスを乗せると切り替わります(少々時間がかかる場合があります)。

扁額です。
「隧道」ではなく「トンネル」と名乗っていることからも分かるように、1969(昭和44)年竣功と決して古いトンネルではありません。
ただし、扁額の右下に当時の静岡県知事の名前が彫られており、このトンネルの開通が非常に重要であったことが窺えます。






※この画像はマウスを乗せると切り替わります(少々時間がかかる場合があります)。

新網代トンネルは全長525mで、トンネル内はほぼ一直線となっています。
トンネル内は2車線幅は確保されているものの、路側帯はほとんど無く、歩道も歩行者同士のすれ違いすら厳しい狭さです。







※この画像はマウスを乗せると切り替わります(少々時間がかかる場合があります)。

500mを越える長さのトンネルということで、トンネル内には消火設備や出口への誘導灯が設置されています。
その誘導灯のフォントがいかにも昭和っぽい良い味を出しているのですが、260m+260m=520m・・・。

トンネルの長さは525mなのですが、残りの5mはどこへいったのでしょうかw
出口の5m手前に非常口が設置されているのなら正しい表示となりますが、その可能性は低いでしょうし・・・。






525mの新網代トンネルをまもなく抜けようかというところで、突如前方に信号機の無い交差点が出現しました。
言うまでもなく、先ほど別れた旧道です。
さらに、交差点の直後にはそこそこ急な右カーブ付きというダブルコンボ・・・。

長いトンネルから出たばかりで明るさに目が慣れないうちに信号機の無い交差点+カーブ・・・。
しかも、トンネル内がほぼ直線のため、スピードも乗っているはずです。
これは危険すぎる線形なのでは・・・。
事実、この付近の路面には注意を促すペイントが描かれていました。







※この画像はマウスを乗せると切り替わります(少々時間がかかる場合があります)。

新網代トンネルを抜けてすぐ、旧道との交差点があります。
ただし、旧道は合流するわけではなく、現道を跨いで先へ続きます。

しかし、車止めが設置されているので、ここから先は自動車で旧道へ入ることはできません。







※この画像はマウスを乗せると切り替わります(少々時間がかかる場合があります)。

新網代トンネルの下田側坑口です。
小田原側坑口と大きな違いがありませんが、「信号機あり!!」の標識が目を引きます。
下田側から新網代トンネルに入った場合、トンネルを出てすぐに信号機があるため、こちらも危険な線形といえます。
信号機に対する警告は坑口の左上にも書かれており、過去にはその下にさらに看板らしきものが設置されていた痕跡もありました。

なお、「信号機あり!!」のアームに設置されているカーブミラーですが、これは旧道側の車が新網代トンネルを抜けてくる現道の車を確認するために設置されているものです。
正直、カーブミラー1個あったところで気休め程度にしかならないと思うのですが・・・。






※この画像はマウスを乗せると切り替わります(少々時間がかかる場合があります)。

旧道と交差した現道は、このあとしばらく海の上を走ることになります。
旧道が素直に海岸線沿いを進んでいくのと比較すると、いかに現道が海にせり出しているかが分かります。






※この画像はマウスを乗せると切り替わります(少々時間がかかる場合があります)。

この区間は、「網代パノラマバイパス」という愛称が付けられており、上り坂となっていることもあって海が一望できます(フェンス越しになってしまいますが・・・)。
また、片側にしか無いものの歩道もかなり広めに取られており、安心して歩くことができます。

それにしても、中国語の表記で「バイパス=迂回道路」というのが気になります。
バイパスなのに迂回とはこれいかに・・・。






遠くに2つ目のトンネルが見えてきました。
左側にあるフェンスの格子がほぼ水平・垂直となっており、そこそこの登りこう配であることが分かります。







※この画像はマウスを乗せると切り替わります(少々時間がかかる場合があります)。

そして、現道は「立岩トンネル」へ入ります。
先ほどの新網代トンネルとは異なり、坑口にはイワシだかサンマだか分からない魚の絵が描かれています。
なお、この立岩トンネルの脇には旧旧道への入口(正規の入口ではない)があります。






※この画像はマウスを乗せると切り替わります(少々時間がかかる場合があります)。

扁額は、トンネル名のみが書かれたシンプルなものとなっています。
また、坑口の左側には銘板が設置されており、こちらには竣功年月や延長、幅などの記載があります。

これによると、立岩トンネルは2005(平成17)年6月竣功と、新網代トンネルより30年以上も新しいということになります。
同じ道路で、しかもこれだけトンネル同士が至近距離にあるのに、竣功年月に30年以上も開きがあるのは通常ありえません。
道路の建設に合わせてトンネルを竣功するため、本来ならほぼ同時期の竣功年月になるはずです。

この真相については、後ほど説明します。







※この画像はマウスを乗せると切り替わります(少々時間がかかる場合があります)。

立岩トンネルは幅が8,5mとなっており、その違いは先ほどの新網代トンネルと比較すると歴然です。
また、新網代トンネルよりも長さが短いため、内部はかなり明るいです。
まだトンネル自体が新しいということもあると思います。

そして、これだけ短いトンネルにも関わらず、律儀に誘導灯が設置されています。
ただ、190m+90m=280m・・・。

立岩トンネルの延長は284mなので、4m足りませんw
もしかしたら10m毎の表示に揃えているのかもしれません。






ほぼ直線のまま、立岩トンネルを抜けます。
トンネル内も、終始登りこう配でした。







※この画像はマウスを乗せると切り替わります(少々時間がかかる場合があります)。

立岩トンネルの下田側坑口です。
小田原側坑口とは異なりイラストなどは描かれておらず、代わりに石積み調のデザインとなっています。

こちら側にも、脇に旧旧道への入口(これも正規の入口ではない)があります。





立岩トンネルを抜けると、すぐにまた橋に差し掛かります。
平成17年11月に竣功した朝日橋で、全体的に緩やかなカーブを描いています。






朝日橋を渡り終わると、すぐに右側から旧道が合流してきます。







※この画像はマウスを乗せると切り替わります(少々時間がかかる場合があります)。

旧道との合流点です。
側溝が旧道側へ向かっていることも、これが旧道であることを証明しています。




旧道と合流した直後、先ほどまでの広い歩道が嘘のように狭くなり、路側帯も余裕が無くなりました。
「網代パノラマバイパス」の区間が終了したようです。

この先、伊東市の市街地に入るまで、しばらくこの幅が続きます。


それでは、次のページでは旧道を調査していきます。






次のページでは、旧道を調査します。

旧道へ  戻る



inserted by FC2 system