調査日:2020年2月29日、公開日:2023年7月10日


小石間隧道
(浜松市)



今回は、静岡県浜松市天竜区にある特徴のある隧道を紹介します。


目標物が少ないため、まずは広域の地図でおおまかな場所を確認します。
地図のほぼ中央、〇で囲んだ場所に橋があります。
右から中央下へ続いている赤色のラインは国道362号線です。
右側にわずかに見えている線路は大井川鐡道、また左上にわずかに見えている線路はJR飯田線となります。
いずれの鉄道からも遠く離れた山間部であり、一応JR袋井駅からの路線バスが付近を通っているものの本数はかなり少ないです。
また、地図を見ても分かるように、これといった目標物がありません。

地図は国土地理院の電子地形図を使用







〇付近を拡大した地図です。
中央付近の緑色のラインが今回紹介する隧道となっており、ほぼ直線で貫いています。
隧道前後の黄色のラインは県道389号線となっており、隧道もこの県道389号線に含まれています。
右下に見える色のラインは、先ほどの地図でもご説明した国道362号線です。

それでは、地図の下(南)から上(北)へ向かってレポートしていきます。

地図は国土地理院の電子地形図を使用






国道362号線から分岐した県道389号線は、しばらくは2車線幅となっていますが、「トンネル内ライト点灯」の看板が設置され、トンネルを予告しています。
ここまでは普通のトンネルにもよくある光景ですが、左側に設置されている標識が気になります。






待避所のイラストとともに「ゆずりあいトンネル」と聞き慣れない言葉が書かれ、さらに「対向車の明かりが見えたら止まって下さい」という謎の文面も・・・。
ちゃんと2車線の幅があるのに、いったいどういうことなのでしょうか。
あっ・・・(幅員減少の警戒標識を見ながら)







※この画像はマウスを乗せると切り替わります(少々時間がかかる場合があります)。


そのまま進むと、緩やかな左カーブの先にトンネルが見えてきましたが、同時に幅員が減少・・・。
見通しが悪い最悪な線形です。
ちなみに、右側に設置されている錆びた看板ですが、「バスの運行にご協力下さい」と書かれていました。
現在、路線バスはこの場所よりかなり手前で終点となってしまっていますが、かつてはこの場所も運行されていたようです。
自治体名として書かれている「春野町」は2017(平成15)年に浜松市に編入されているため、それ以前に設置された看板ということになります。




様々な標識が設置された坑口前。
トンネルのスペックは高さ3.8m、幅3.2mで、路線バス程度であれば通過できるようです。
また、先ほどの「ゆずりあいトンネル」の標識にもあったように、380m先には待避所があるようです。
そして、何より驚いたのは通学路となっていること。
このトンネルを毎日歩いて登下校している小学生がいるとは、性癖が歪んでしまいそうです(は?







坑口です。
扁額は設置されておらず名前は不明ですが、左側に先ほど見た「ゆずりあいトンネル」標識が再度設置されています。
ここで気になる点が・・・。
先ほど確認した地図ではトンネルはほぼ直線になっていましたが、ここからは反対側の光が見えません。
いったいなぜでしょうか。




とりあえず、トンネルに入ってみます。
軽乗用車同士ならなんとかすれ違えそうではありますが、それ以上の車両となると待避所は必須でしょう。
もちろん歩道は無いので、歩行者は路側帯を永遠に歩くことになります。
やはり、反対側の光は見えません。






しばらく進むと、反対側の光が見えてきました。
どうやらこのトンネル、拝み勾配になっているようです。
同時に、前方に広がりを感じます。
標識で予告されていた待避所でしょうか。







待避所です。
左側に膨らむ形状となっており、乗用車であれば3〜4台ほどが退避できそうです。
また、この部分はアーチがコンクリートではなく、コンクリート吹付となっているようです。






撮影中、たまたま待避所でのすれ違いの様子を見ることができました。
先ほど書いたように、このトンネルは拝み勾配となっているため、待避所手前まで進まないと対向車を確認できません。
待避所手前で対向車を確認した場合は、この待避所で停止し対向車の通過を待つことになります。
まるで単線鉄道のすれ違いを見ているようで、不思議な感覚になります。
ちなみに、この県道自体は交通量はそこまで多くはないものの、トンネルの延長が661mあるため、タイミング次第ではこのようにこの待避所でのすれ違いを行うことになります。
私も、このあと乗用車でトンネルを通過した際、この待避所でのすれ違いを行いました。





待避所を過ぎると、再び幅が狭くなります。
時折、先ほどと同様、アーチ部分がコンクリート吹付となっている場所があります。







だいぶ出口が近づいてきました。
地図のとおり、ほぼまっすぐなトンネルで、拝み勾配が無ければ出口の光が見通せるのではないかと思います。







※この画像はマウスを乗せると切り替わります(少々時間がかかる場合があります)。


そして、トンネル出口ですが、こちらも見事なブラインドカーブとなっており線形は最悪です。
ただ、カーブが広めとなっているのが救いでしょうか。






※この画像はマウスを乗せると切り替わります(少々時間がかかる場合があります)。


坑口です。
こちら側には扁額が設置されており、「小石間隧道」と名前が刻まれています。
また、竣功は1972(昭和47)年12月となっており、竣功年月の隣には「農林大臣 足立篤郎」とも刻まれています。
足立篤郎さんは、1972年に農林大臣を務めており、静岡県袋井市出身であることからも関係性が窺えます。




車道でありながら、鉄道のような通行方法な小石間隧道。
実は、本当に鉄道の隧道だった過去を持っています。

1930年代、この地域の木材を運搬するために気田森林鉄道が建設され、この小石間隧道も掘られました。
この気田森林鉄道の廃線後、拡幅のうえで車道に転用したのが、現在の小石間隧道というわけです。
つまり、車道用として竣功したのは1972年ですが、実際には昭和初期に鉄道用として竣功していた隧道というわけです。

車道転用の際、1車線幅で拡幅された理由は不明ですが、おかげで現在でも鉄道のような通行方式を楽しむことができる小石間隧道。
ぜひ一度通ってみてはいかがでしょうか。




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