たまゆら小説 「写真が大好き、なので」





「ぽって部長、良い写真は撮れましたか?」
「はい!」

今日も、私は愛用のカメラで写真を撮影している。
普通の人ならシャッターを押すことはないだろう、ごくごく平凡な景色。
私は、そんな景色を撮るのが好きだ。


写真は、一瞬の出来事をいつまでも残しておくことができる。

例えば、何の変哲もない景色を撮影したとする。
翌日同じ場所を訪れれば、きっと写真と似たような光景に出合えるだろう。
しかし、もしかしたら雲の形が写真とは違うかもしれないし、写真では綺麗に咲いていた花が散ってしまっているかもしれない。
そこにあるのは、あくまでも写真と"似たような光景"であって、写真と同じ光景ではない。
写真は、刻一刻と変化する世界のある一瞬を、保存することができる。

そんな写真にも、もちろん欠点はある。
どんなに性能の良いカメラを使っても、再現できる色には限度がある。
実際に肉眼で見るのに比べると、どうしても劣ってしまう。
良い景色は、自分の目に焼き付けておくのが一番良いのかもしれない。

しかし、そう上手くいかないのが人間というもの。
どんなに美しい光景を見たとしても、時間の経過とともにその光景はあやふやになり、やがて記憶から消えていく。
色の再現には制限があるが、いつまでも残すことができる写真は、人間の弱点を補っていると言える。


今まで、色々な場所に行き、たくさんの写真を撮影した。
住み慣れた竹原の街並み、夏祭りや花火、ももねこさま、桜の木、そして友達や先輩・・・。
今は鮮明に思い出せるけど、きっとだんだんと色褪せてしまう。

みんなと楽しく過ごしているこの時を、この場所を、少しでも多く未来の自分に伝えたい。
そして、「こんな時もあったな」と、今の自分を思い出してほしい。
だから、何気ない平凡な今を、写真に記録するんだ。


「かなえ先輩、写真撮っても良いですか?」


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

2作品目の「たまゆら」小説でしたが、いかがでしたでしょうか?
前々から書きたかったのですが、なかなかネタが浮かばず・・・。

それにしても、この会話の少なさはどういうことなの・・・。
今まで書いてきた作品の中で、一番の会話の少なさかもしれません。
撮影する対象こそ違いますが、同じ写真を趣味としている人間として、写真に込めた思いを感じていただければと思います。

「たまゆら」は、なかなか小説にするのが難しい作品ですが、大好きな作品なので、また書きたいと思います。


ご意見・ご感想をお待ちしております。



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