東海道本線旧線(大崩海岸)


調査日:2009年2月14日


【注意】このレポートでは危険な場所の探索を行っています。探索の際には十分ご注意下さい。


鉄道の大動脈である東海道本線は、現在に至るまでさまざまな改良が加えられてきました。
当然、旧線というものが出てくる訳ですが、そのうちの1つが静岡県の用宗〜焼津間、大崩海岸という場所にあります。
「大崩海岸」という地名からして恐ろしいですが、事実、この場所では以前から落石が多発しており、たびたび道路などが被害を受けました。

鉄道については、落石が原因で線路付け替えが行われたわけではありませんが、大変珍しい付け替えが行われました。


現在線と旧線の関係はこのようになっています。
緑ラインで示したのが現在線、赤ラインが旧線となります。海岸沿いを走っている道路は県道416号線です。

旧線は「石部隧道」と「磯浜隧道」という、2本の隧道とその明かり区間から成っていました。また、駿河湾のすぐそばを通っていました。
この2本の隧道の途中からそれぞれ新たにトンネルを掘り、無理矢理? 1本の隧道に統合したものが、現在線となっています。
1本となった隧道は、旧線時代に静岡側に存在した隧道の名前を受け継ぎ「石部隧道」となり、現在もたくさんの列車を通しています。
現:「石部隧道」の焼津側の一部は「磯浜隧道」をそのまま使用しているのですが、残念ながら「磯浜」という名前は受け継がれていません・・・。

なぜこんな不思議な付け替えを行ったかといいますと、「石部隧道」のすぐ北側を東海道新幹線のトンネルが平行しているため、新たにトンネルを掘る用地が確保できなかったためだと思われます(あくまで憶測ですが・・・)。


このような線路付け替えが行われた結果、「石部隧道」の焼津側〜「磯浜隧道」の静岡側という、なんとも中途半端な旧線区間ができてしまったのです。


地図は国土地理院の電子地形図を使用






現在、この旧線へは、県道416号線からアクセス路が分岐しています。写真の場所ですが、大変見逃しやすいです。






分岐の先は水路?に繋がっています。ここを下るのですが、傾斜が半端ないです。
写真では分かりにくいですが、たぶん40度はあるのではないかと・・・。
しっかりと繋がれているロープがあるので、それを頼りにしましょう。







下っていくと、突然目の前にこの光景が広がります。旧線に合流しました。しかしこのレンガの残骸は・・・。

そのまま、視線を左へ移すと・・・


!?
写真では伝きれませんが、そのあまりの大きさに一瞬見とれてしまいました。
これが旧「石部隧道」の焼津側坑口で、左が上り線、右が下り線となります。ご覧のように、無残な姿を晒していますが・・・。



実は、この旧線はもともと海岸線近くを通っていたため、海からの侵食を大変受けやすいのです。
人の手から離れた今となっては、「大崩海岸」という名の場所にふさわしいほど、何もかもが崩れてしまっています。

写真は旧「石部隧道」焼津側坑口付近から「磯浜隧道」側を見ていますが、本来あったはずの路盤すら、このように破壊されてしまっています。
また、「磯浜隧道」付近は施設建設による整地で人為的に路盤が失われており、「磯浜隧道」の静岡側坑口も消滅してしまっています。



旧「石部隧道」については人為的な破壊は受けなかったものの、自然の力によって現在進行形で崩れつつあります。
隧道自体はしっかりと穴を開けているものの、坑口付近はすでに原型を留めていません。

写真の下り線の隧道はやけに奇麗な崩れ方をしていますが、覗かせている断面が坑口の素材とは異なるので、坑口部分は付け足されたのかもしれません。



一方、上り線の隧道は無残な崩れ方をしています。数年前までは、坑口がほぼ無傷のままで残っていたとのことですが・・・。



それにしても、周辺にちらばった隧道や路盤の残骸はいったい・・・。これが自然の力によるものというから驚きです。



残骸の中には、坑口の一部と思われる破片もあります。写真では分かりませんが、破片1つ1つがかなり大きなものです。



残骸に埋もれるようにして、暗渠が残っていました。立派なレンガ積みですが、この暗渠も半分長さの近くが失われているようです。



隧道の近くには、橋脚らしきものも残っています。こちらは、本来の幅の半分以上を消失してしまっています。
さらに、橋脚の足場となっている地面は、3分の1ほどが流出しており、橋脚を支えきれなくなるのは時間の問題と思われます。

なお、写真左に写っている梯子は元から架かっていたもので、私はこの梯子を利用して下まで降りてきました。しっかりと固定されています。



もう1つある橋脚は、すでに力尽きてしまっていました。そして、遠くから見て改めてこの光景をすごいと感じました。



この大崩海岸の東海道本線旧線ですが、このレポートを見ていただいて分かるように、危険な状況にあります。
橋脚など、いつ崩れるか分からない遺構も多数あります。訪れる方は、ぜひ近付き過ぎないように注意してほしいと思います。

また、私は会いませんでしたが、隧道内に住んでいる方がいらっしゃるようです。決して迷惑を掛けないようにしましょう。



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