宇津の谷にある隧道群


調査日:2009年2月14日



宇津の谷は、静岡県静岡市と同県藤枝市の境に存在する、標高170mの峠です。
古くから交通の要所として栄え、現在では国道1号線という日本の幹線がこの峠を通過しています。
その宇津の谷には、至近距離に明治、大正、昭和、平成のそれぞれの時代に建設された隧道が通っています。
しかも、その4本の隧道すべてが現在も通行可能なのです! そんな宇津の谷の隧道群を調査してきました。



隧道群の位置関係はこのようになっています。

緑のラインが国道1号線で、緑ラインの隧道が「平成宇津ノ谷トンネル」(下り線)、青ラインの隧道が「新宇津谷隧道」(上り線)です。
赤いラインが国道1号線の旧道、現在の静岡県道208号線となります。
そして、ピンクのラインが、そのさらに前身にあたる明治道(旧旧道)です。

4本ある隧道のうち2本が「宇津谷隧道」と同じ名前のため、かなりややこしくなってしまいましたが・・・。


このレポートでは、明治→大正→昭和→平成の古い順に隧道を紹介していきます。


地図は国土地理院の電子地形図を使用






写真は県道208号線と明治道の静岡側分岐点です。
右の2車線の道路が県道208号線で、左へ分かれる道が明治道になります。






分岐点にはこのような看板も立っています。

実は明治道の「宇津谷隧道」は、有形文化財に登録されており、観光名所にもなっています。
県道208号線の「宇津谷隧道」との混合を避けるため、明治のトンネルなどと紹介されているようです。

逆に、県道208号線の「宇津谷隧道」は大正のトンネルと呼ばれています。


※以後、明治道の「宇津谷隧道」は「明治宇津谷隧道」、
 県道208号線の「宇津谷隧道」は「大正宇津谷隧道」と表記します。






こちらが明治宇津谷隧道へ続く明治道です。
隧道が有形文化財に登録されているため、この道もしっかりと整備されています。
左右に並ぶ民家も趣がありますね。

宇津の谷へ向けて緩やかに登っていきます。






何度かヘアピンカーブを繰り返し、あっという間に標高を稼ぎました。
写真中央写っている道が、先ほどまで歩いていた明治道です。

もう隧道はすぐそこです。







ついに明治宇津谷隧道が現れました!
隧道手前には車止めが設置され、自動車での通り抜けはできなくなっています。


扁額です。見にくいですが、右書きで「宇津谷隧道」と書かれています。

隧道近くにあった案内板によれば、完成は明治9年6月、現在の延長は203m、高さ3,6m、幅5,4mで、
当時建設された道路用隧道としてはかなり立派な物だと思われます。
また、日本で初めての有料トンネルで、当時は歩行者1人あたり6厘を徴収していたといいます。


明治宇津谷隧道、静岡側の坑口です。
美しい煉瓦積みになっています。アーチ部分の巻厚は4枚ですね。

先ほど、「現在の」延長・・・と書きましたが、実は完成時の延長は223mと現在より長かったのです。
明治29年、照明用のカンデラから出火し、静岡側坑口付近を焼失。一時通行不能となります。
明治37年に再建された現在の隧道は、焼失した静岡側坑口付近を新たに掘り直したため、延長が変わったのです。



明治宇津谷隧道の内部です。内壁は煉瓦積みの上から、コンクリートの吹きつけによって補強がされているようです。
現在の隧道はほぼ直線で、向こう側の出口が見えますが、完成時は「く」の字型のカーブがあったそうです。


隧道内にはこのようなレトロな照明が設置されています。とても隧道の雰囲気に合っていると思います。


明治宇津谷隧道の藤枝市側坑口です。静岡側坑口に比べると、いくらか状態が良い気がします。
坑口の組み方は静岡側と同じようです。






隧道を出た明治道はそのまま下り坂となり、やがて県道208号線に合流しました。



次のページでは、大正宇津谷隧道と新宇津之谷隧道、そして平成宇津ノ谷隧道を紹介します!



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