ヤマノススメ小説 「ヤキモチ」





「私、あおいのことが好きなの!」

――

そんな衝撃的な告白を受けてから1週間。
早くもクラスの友達や楓さん達には関係を知られ、でも意外なほどみんな驚きもしなかった。

「いや、あなた達前から距離近かったし、ぶっちゃけ全然違和感無いわよ。」

とは楓さん談。
まぁ、確かに付き合い始めて何か変わったかと言われたら、正直ほとんど変わっていない。
強いて挙げるなら、手を繋ぐ機会が増えたことくらいだろうか。

ところで、今回の告白で、ひなたに問い詰めたいことがある。

「再会したばかりの頃、彼氏できないよ?・・・とかドヤ顔で言ってなかったっけ?」
「いやぁ、あの頃はまだ自分でもこんなことになるなんて思ってなかったし・・・。」

ばつが悪そうに目を逸らしながら答えるひなた。
その様子が少し面白くて、悪戯心が湧いてきてしまった。

「もし私に彼氏ができてたら、ひなたはどうするつもりだったのよ。」
「学校の屋上から飛び降りて死ぬ。」

ちょっとだけ意地悪な質問をしたつもりが、思いのほか重かった。
少し質問を変えよう・・・。

「なら、どのタイミングで私のこと好きになったのよ。」
「気づいたら好きだったって感じかな。」

いつもズバッと自分の意見を言うひなたにしては、珍しくあやふやな答え。

「とりあえず、あおいがほかの子とおしゃべりしてるのを見てイライラするようになったから、これはヤキモチ妬いてるなって。」

この前、金峰山に登った時のことかな。
自分からヤキモチ妬いてたって言ってたし。

「誰にもあおいを取られたくない、私だけのものにしたいって思ったら、もう告白してたよね。」

さっきの屋上から飛び降りる発言もそうだけど、ひなたって拗らせると怖いかもしれない、なんて思ったり。

「どんだけあおいのこと好きなんだよって、自分でもびっくりしてたりもするんだけどね。」

なんだか、私の軽率な一言でひなたの思わぬ一面を覗き見てしまった気がする。
自分で言うのもおかしな話だが、ひなたは想像以上に私にぞっこんだった。

「だから、あおいがOKしてくれた時、本当に嬉しかった。ありがとね。」

普段は絶対見せないはにかみ顔でそう言うひなたを見て、こいつにもこんな顔ができるんだな、なんて思うと同時に、この顔は私だけが見られるんだという優越感に浸ってしまう。
あれ、もしかしたら私も結構危ない人なのかもしれない。

「せっかく付き合うんだから、ちゃんと幸せにしてよね!」
「何そのセリフ、あおい少女漫画読みすぎでしょ。」

苦し紛れにひねり出した言葉はあまりにもダサくて、案の定ひなたに馬鹿にされてしまった。
それが悔しくて、つい口走ってしまう。

「もう、ひなたなんか嫌い。」
「学校の屋上から飛び降りて死ぬ・・・。」

今からこんな感じじゃ、なかなか前途多難な付き合いになりそうな予感・・・?




最後まで小説をお読みいただき、ありがとうございました。
3作目の「ヤマノススメ」小説でしたが、いかがでしたでしょうか?

今回は、4期冒頭の振り返り放送を見て思いつきました。
そういえばこんなやり取りもあったなぁ・・・と思いながら書きました。
ちなみに、「彼氏できないよ」のくだりは記念すべき1期の第1話、ヤキモチのくだりは3期の後半でそれぞれありました。
一応、ヤマノススメは全話視聴してはいたものの、正直忘れかけていた話もあったので、振り返り放送があってよかったです。

そんなこんなで、これからも「ヤマノススメ」の小説を書いていきたいと思います。
ご意見・ご感想をお待ちしております。





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