ゆゆ式小説 「恋のベクトル」





「なんだ、お前また部活サボってんのか?」

ん。

「たまにはちゃんと出ないと、後輩が可哀想だぞ?」

ん。

「お待たせ〜、生徒会長引いちゃって・・・。」
「おう、おかえり相川。」

佳は千穂のことが好きだ。
千穂は櫟井さんのことが好きだ。
櫟井さんはたぶん日向さんのことが好きで、野々原さんはたぶん櫟井さんのことが好きだ。

そして私は、きっと佳のことが好きなんだろう。
"きっと"というのは、実は自分でもよく分からないから。
でも、不意に佳に触れた時にドキドキしたりするから、意識はしてるんだろう。

それにしても、私も含めて見事にみんな一方通行だ。
しかも、同性同士。
お互いの恋が成就する可能性は、かなり低いだろう。
そのあたりはみんな薄々気づいているようで、平行線の状態が続いている。
佳なんかは「相川はアタシのだから」とか冗談っぽく言ってるけど・・・。


なんだかんだで、私は今のこの関係が好きだし、それはみんなも同じだと思う。
バカなことで盛り上がったり、ボケたりツッコんだり。
たまに相手のしぐさにときめいたりするのが、心地良い。

正直、こうやって他人の恋の行方を詮索するのも楽しかったりする。
特に佳は、千穂に対する態度が分かりやすくて、からかいがいがある。
普段は男っぽい性格のくせに、千穂を見る時の顔は恋する乙女そのもの。
その顔を私に対して見せてくれないのは少し複雑な心境ではあるけれど・・・。
というか、私も佳を見ている時はあんな顔になっていたりするのだろうか。

「長谷川、なに私の顔見てボーっとしてんの?」
「ん。」

佳と視線が合ってしまった。
どうやら、無意識のうちに佳を目で追ってしまっていたようだ。
私も、人のことは言えないのかも・・・。

「何だよ、さっきから"ん"しか言わないじゃんかよ。」
「ん。」
「"ん"しか言えないゲームでもしてんのかよ。変な長谷川〜。」


とにかく、一つだけ言えるのは、あなたの笑顔が見られる今が幸せだってこと。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

2回目の「ゆゆ式」小説でしたが、いかがでしたでしょうか?
前回の小説では、ゆずこ・唯・縁の3人組しか出てこなかったので、今回は佳・千穂・ふみの3人組にスポットを当ててみました。
とはいっても、ほとんどふみしか出てきていませんが・・・。

また、話の中身も、ギャグ中心だった前回と比べ、だいぶ落ち着いた内容にしました。
普段から佳にちょっかい出してるふみなら、こんなことを考えているんじゃないかと思います。
ゆゆ式らしくないかもしれませんが、普段のゆゆ式の裏の一面だと思ってくださいw

また機会があれば「ゆゆ式」作品を書いてみたいと思います。
アニメが終わって、もう2年近くが経とうとしています。続編を期待したいところです。


ご意見・ご感想をお待ちしております。



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